しかし、これらが思わぬ事故の引き金となる場合があります。
夏の車内にスプレー缶を置いても大丈夫?
夏の車内にスプレー缶を置くのは非常に危険です。夏場の温度が50℃以上にもなる車内にスプレー缶を保管していると、缶の中に入っている液化ガスが膨張し、内圧に耐えられなくなったスプレー缶が破裂・爆発してしまうことがあるのです。
その威力は分厚いフロントガラスを砕くほど…!
もし、車に乗ろうとした瞬間にスプレー缶が爆発したら…と想像するだけでぞっとしてしまいますね…。
さらに爆発したスプレー缶の中身が可燃性のものだった場合、引火による二次災害を起こす危険性もあります。
火災につながれば、自分だけでなく周囲の安全までも脅かしてしまいます。
特に危険なのは、ついダッシュボードの上や車の床に放置してしまうケースです。
直射日光の影響を強く受ける場所では、急速に温度が上昇し、缶の耐熱限界をあっという間に超えてしまうことも。
JAFの実験によると、気温35℃の屋外に4時間駐車した場合、車内は55℃以上、ダッシュボード付近は79℃にまで達したというデータがあります。
参照元:真夏の車内温度(JAFユーザーテスト)
高温環境におけるスプレー缶破裂・爆発事故の実証実験
スプレー缶が高温環境でどのように破裂するのかを検証するため、上越地域消防局による実証実験が行われています。参照元:上越地域消防事務組合
実験では、数年経過した制汗スプレー缶を用い、温度を40℃から徐々に上昇させて観察した結果、60℃付近で缶に異変が生じ、73℃に差し掛かるところで爆発しました。
口金が飛び、火炎が噴き出し、専用ボックスの防炎シートを突き破ってコンクリート天井に痕跡を残すほどの威力だったそうです。
缶が劣化していたり傷があれば、さらに低温で破裂する恐れもあるとされています。
この実験では、炎天下に放置した車内温度の計測も行われており、温度計は76.7℃を記録しました。
この数値はスプレー缶が爆発した温度を上回っており、実際の車内環境がいかに危険な状態になり得るかを示しています。
特に直射日光が当たるダッシュボード付近や、通気の悪いトランク内ではさらに温度が上昇する可能性があります。
こうした状況では、スプレー缶の破裂にとどまらず、可燃性ガスの引火や火災につながる恐れもあります。
スプレー缶を車内に持ち込む際の注意点
スプレー缶を車内に持ち込む場合は、以下のような注意が必要です。- ダッシュボードや座席下など、高温になりやすい場所に置かない
- 車を直射日光の当たる場所に長時間駐車しない
- 駐車時はできるだけ車外に持ち出して涼しい場所に保管する
このように、普段のちょっとした気遣いだけで大きな事故を防げます。
日焼け止めスプレーや虫よけスプレー、冷却スプレーなどの可燃性・圧力製品は、高温の車内に置かないよう徹底しましょう。
また、炎天下の車内にはスプレー缶以外にも、放置すると危険なものがあります。
そのひとつがモバイルバッテリーです。
高温環境では内部のリチウムイオン電池が不安定になり、発熱・膨張、最悪の場合には発火する可能性もあります。
モバイルバッテリーの車内放置の危険性については、下記の記事で詳しく紹介しています。











